【マラソン大会後半も走り切る身体作り】今の時期も行うべきテンポ走(ペース走)

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.6万人(2024年5月21日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「今の時期、テンポ走やペース走は行うべきか」がテーマです。

さて、今回は高強度走の1つの「ペース走」について解説いたします。

実施される方も多いと思いますし、マラソン大会の記録を伸ばしていきたい人であれば、確実に必要なトレーニングの1つです。

ただ、「今の時期にこのトレーニングは必要か?」と思いますよね。

イメージとして、ペース走は「長く走る練習で、レースが近づいてきた時にこそ行う」というトレーニングではないでしょうか。

僕だけかもしれませんが(笑)

今は5月、そう、マラソン大会のシーズンからは遠く、「長く走る練習」よりも、スピードを求めて、「距離を短く走る」という練習にシフトしている方も多いかもしれません。

それ自体は間違いではありませんが、じゃあ「ペース走などのトレーニングは必要ないのか?」こう考えるのも、少し疑問です。

今回は、「今の時期にテンポ走は必要か?」をテーマにしています。

理解が深まると、これからの練習の計画がまた「一段変わる」、そんなテーマです。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!

「テンポ走」とは?

まず「テンポ走ってなんや?」と思った方も少なくないでしょう。

冒頭の説明でも、「ペース走」がいきなり「テンポ走」に変わりましたからね(笑)

「テンポ走」というのは、スウェーデン語で「速く動く」を意味するトレーニングです。
これが、市民ランナーの間では、「ペース走」というやり方で広まっていることが多いですね。

ペース走は「一定のペースで走る」トレーニングのことを言います。
なので、速いペースでも、遅いペースでも、「一定のペースで走る」ことをペース走と言うのかな、と僕は解釈しています。

そして、高強度のトレーニングとして浸透している「レースペースよりも速く走る」や「ハーフマラソンのペース程度で走る」といった高強度のペース走を「テンポ走」と位置付けている、と考えています。

似た言い方でいえば「LT走」や「閾値走」という言い方もしますが、個人的には「言い方が違う」だけ、と解釈しております。

「テンポ走」を行う目的は?

テンポ走やLT走の目的は、「LT値の改善」です。
「横文字過ぎてわからん!」という方も少なくないでしょう(笑)

キーワードは「乳酸」です。

乳酸とは?

僕たちの身体は運動すると、「乳酸」というものが発生します。

「乳酸は疲労物質だ!」とか、「乳酸は疲労物質ではない!」といった意見はありますが、乳酸の一部は「ピルビン酸」というものに変わり、それが走るための「エネルギーとして再利用」されます。

つまり乳酸の一部は、「エネルギー源」となっているという事です。

しかし、乳酸の蓄積量が多くなると、身体の血液の濃度が「酸性」に傾いていきます。
この血液の濃度が、酸性に傾いていくと、代謝機能が落ち、運動機能が低下していきます。
これを、「血中乳酸濃度が上がる」と僕らはよく言います。

なので、乳酸は「疲労物質」でもあるし、「エネルギー源」にもなる、ということですかね。

運動と乳酸の関係

基本的には、どんな運動であれ、長時間運動をすると、乳酸の濃度が上がりますが、非常に緩やかに上がります。

しかし、運動強度が上がっていき、ある一定の強度を超えると、急劇に乳酸の蓄積が速くなり、乳酸を処理するスピードが追い付かなくなって、どんどん乳酸が溜まっていきます。

こうなると、血液が一気に酸性に傾き、身体が動かなくなります。

この「急激に乳酸が溜まり、処理スピードが追い付かなく地点」を「閾値」と言ったり、「LT値」と言ったりします。

つまり、「LT値が改善していく」ということは、身体に乳酸が溜まりにくくなり、高い強度の運動をしても、動き続けることができる、と理論上はなります。

長時間の運動をしていくと、最初はなんてことない強度でも、25kmや30km付近になってくると、同じ強度でも、身体は動きづらくなります。
色々な要素はありますが、血中の乳酸が徐々に蓄積していることも、1つの原因です。

テンポ走と乳酸の関係

「LT値を改善する」と、乳酸の処理スピードも上がります。
つまり「乳酸をエネルギーに再利用させる能力」も、上がるという事です。

この能力が上がれば、マラソン大会の後半でも、血中乳酸濃度が酸性に傾きにくくなり、後半にもしっかり身体を動かすことができるようになります。

つまり、「LT値を改善していく」ということは、速いスピードで動き続ける能力も向上し、フルマラソンのように長い距離を走る競技であれば、乳酸の処理という観点で、必須な能力になります。

前置きが長くなりましたが、テンポ走というのは、「LT値の改善」、すなわち、「乳酸の処理速度をあげて、エネルギーに変換する能力」を上げていくための、非常に重要なトレーニングになります。

マラソン大会のレースペースに慣れる、ハーフマラソンの仮想トレーニングという、レースに特化したトレーニングであれば、今の時期に、必要性は少ないかもしれません。

しかし、LT値を改善し、乳酸の処理能力を上げる、つまり「代謝系の能力の改善」という、生理的機能の改善になります。
しかも、「マラソン大会の後半の失速対策」という、非常に重要な要素ですので、「今から取り組む必要は大いにある」というのが僕の解釈です。

「テンポ走」のトレーニング方法

では、実際にどういったトレーニングで、この乳酸の処理能力を上げていくことができるのか。

これは、以前にコラムでもお話している、「中強度走」でも上げていくことができます。
まだ、ご覧になられていない方はぜひ読んでみてください。

ただし「短い距離」の中強度走では、少し効果が薄いかもしれません。

感覚的には20km以上の中強度走になると、心拍もかなり上がり、後半になると走行速度は速くないけども、きつさを感じます。
ペース強度としては、感覚的に「止まるほどでも、減速するほどでもない」、という感覚ですね。

こういった練習でも、「乳酸の処理能力」を上げることはできますし、有機的代謝能力、つまり、「酸素を使ってエネルギーを産み出す」トレーニングになります。

そして、今回のテーマである「テンポ走」、つまり、市民ランナーによく使われている「ペース走」はLT値の改善にはもってこいです。

「テンポ走」の強度

実際に「LT値」「閾値」というのは「ここ!」という明確な数値はわからないです。
正確には、専門の機器などが必要になってきますので、市民ランナーの我々は、測定するのが難しいです。

閾値の改善には、「閾値付近で走る」、つまり、「乳酸の蓄積よりも、処理する速度が、ぎりぎり勝っている付近」でトレーニングをするのが、一番効果的と言われています。

これがいうなれば、「きついけど、気持ちよく走れている」という強度ですね。

この「きついけど気持ちいい」という、なんとも矛盾した形ですが、「気持ちいい」というのは、体感的に「かなり速く走れている」というところから来るのかな、と僕は思っています。

なので、この「きつくてもまだ気持ちよく走れている」という所でトレーニングをすると、閾値の改善に繋がります。

これは「ハーフマラソンのペース」であったり、「フルマラソンのペースから10秒速いタイム」など、色々ありますが、先ほどもお伝えしましたが、正確にはわからないのです。

そして、大切なことは閾値ぎりぎり付近ではなくても、ちゃんと「閾値は改善できる」ということ。

大切なことなのでもう一度。

閾値ぎりぎりじゃなくても、ちゃんと閾値は改善できます

ほとんどの方は、自分の閾値をちゃんと把握していませんよね?
僕も専門の機械を使ったことはないので、正確にはわかりません。

多くの方がそうですが、正確じゃなく、閾値付近でトレーニングをしていけば、ちゃんと閾値の改善に繋がります。

トレーニング例

例えば、フルマラソンサブ3.5を目指す人であれば、レ―スペースは4分58秒/kmです。
ここを目指す方であれば、レ―スペースより10秒速い4分50秒/km付近で、10km以上のテンポ走で閾値の改善に繋がります。

人にはよりますが、4分50秒/kmは、サブ3.5を目指す方であれば、10-15kmであればそこそこ走れるのではないかな?、と思います。
人によりますが…

ただし、ある程度距離を走らないと、閾値の改善には繋がりません。

しかし、1人では、そこそこ速いスピードで走る「テンポ走」は、結構苦手な方が多いのではないでしょうか?
僕も苦手です。

そういった場合は「分割走」、「クルーズインターバル」をお勧めします。

例えば、先ほどのサブ3.5を目指す方なら、
・1500m × 6本 4分45秒/km レストは60秒のジョギング
・2000m × 4本 4分45秒/km レストは75秒のジョギング

こういったやり方でも、閾値の改善につながります。
しかも「そこまできつくない」ので、1人でも非常に取り組みやすいのが特徴です。

ボッチ練の方には、特にお勧めのトレーニングです。

「テンポ走」を行う上で大切なこと

①頑張りすぎない

先ほどもお伝えしましたが、閾値ぎりぎりじゃなくても、ちゃんと閾値の改善にはつながります。
なので、「そこそこの強度」でも効果があることを頭に入れておくことが非常に重要です。
 
これが頭に入っていると、「追い込み過ぎる」ことがなくなりますので、怪我のリスクを一気に落とすことができます。

つまり、1回のトレーニングの強度が上がり過ぎることがなくなるので、「疲労の蓄積が抑えられる」ということですね。

②継続させること

大切なことは、こういった練習を「継続」させることです。
どんな練習も、1回の練習で効果を出すことが難しく、継続することで、少しずつ効果が表れます。

なので、継続をすることが「一番」のトレーニング効果です

そこそこの運動強度でも、効果を出せるのはこういった理由です
逆に言えば、「続けられる運動強度で、トレーニングを行いましょう」ということですね。

強度が高すぎると、次にやるのが嫌になります。
なので、そういった気持ちの観点でも、「そこそこの強度」というのはお勧めです。

いかがでしょう。
どんな時期であれ、「LT値を高める」、つまり、「乳酸と向き合う」ことは、非常に重要です。
こういったトレーニングを、今から続けることで、非常にいい形でマラソン大会シーズンを迎えることができます。

ぜひ、トレーニングのバリエーションとして、この時期も取り組んでいきましょう。

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 「テンポ走」は、秋のマラソン大会に向け、今から行うべき大切なトレーニングである!
  • 「テンポ走」は、マラソン大会の後半も走り続けられる、「代謝系の能力」を改善する!
  • 「テンポ走」は、
    ・強度:「きついけど、気持ちよく走れている」もしくは「レ―スペースより10秒速いペース」を目安とする
    ・距離:長めの距離(目安として10km以上)を走ること
    ・練習方法:連続して長距離を走ることが難しければ、分割しても問題なし!
  • 「テンポ走」で大切なことは、そこそこの強度で、継続して行うこと!

出典

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