【マラソン大会で記録を残したい方必見!】効果的なVO2MAX強化方法

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.63万人(2024年5月27日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「VO2MAXの理解を深める」がテーマです。

さて、「VO2MAX」、皆さまにとって馴染みの深い言葉ですよね。

この「VO2MAX」が上がれば、「心肺持久力が向上する」「フルマラソンが速くなる」、そう信じてトレーニングに励んでいる方も少なくないでしょう。

この「VO2MAX」について、「上がれば本当にフルマラソンが速くなるのか」「そもそもVO2MAXってなんなのか」、を知っている人はどれくらいいるのでしょうか。

なので、今回はランナーにとって重要ワードである「VO2MAX」。
これを紐解いていきます。

シンプルにVO2MAXを高めるのではなく、「知ること」によって、トレーニングの取り組み方や、トレーニングの意味も、より理解が深まるかと思います。

ぜひ一緒に学んでいきましょう!

VO2MAXとは

まず「VO2MAX」とは、
・V:量、ボリューム
・O2:酸素
・MAX:最大
なので、直訳すると「最大酸素量」という意味になります。

つまり「VO2MAX」とは、「運動中に身体が消費できる酸素消費量」のことを言います。
「最大酸素消費量」や「最大酸素摂取量」と言ったりしますね。

この「単位」としてよく使われるのは、「1分間に体重1kg当たり、何mLの酸素が消費できたか」という単位です。

「酸素を身体の中に取り込める最大量」と思っていただければと思います。

この「VO2MAX」の数値が高ければ高いほど、「フルマラソンが速く走れる」「長距離が速く走れる」とよく言います。

これは、長距離を走るためのエネルギーの生産方法に「酸素」を必要とするからですね。

エネルギーを生み出す「代謝」について

代謝には大きく2種類、「有機的代謝」と「無機的代謝」があります。

前者の「有機的代謝」は、エネルギーを産み出すのに、酸素を必要とし、「無機的代謝」は、酸素を必要としません。

「有機的代謝」は、強いパワーを出せないですが、長時間エネルギーを産み出すことが可能です。
「無機的代謝」は、強いパワーを出せますが、短い時間しかエネルギーを産み出せません。

・「長距離」は有機的代謝
・「短距離」は無機的代謝
こう覚えておくと、いいでしょう。

長距離のエネルギーは、有機的代謝でエネルギーを産み出しています。
なので当然、「酸素を身体の中にたくさん取り込める」方が、「たくさんのエネルギーを産み出せる」、というわけです。

陸上競技で無機的代謝、つまり酸素を必要としない競技は100m走と200m走、そして400m走くらいのものです。
なので、「800mより長くなる競技」に関しては、有機的代謝、つまり酸素を使ってエネルギーを産み出す仕組みを利用するので、VO2MAXを高めるということは、長距離全般の競技力を上げていくことになります。

「今の時期に5000mの競技力を上げていくのが良い」と以前コラムで紹介しましたが、あれはなぜか。
後ほどお伝えしますが、「5000mのトレーニング」というのは、よりVO2MAXを強化するメニューになります。

以前「5000m」について紹介したコラムがこちらです。
まだ読んでない方はぜひ参考にしてくださいね。

マラソン大会シーズンになると、他にも「筋持久力」や「LT値の向上」など、よりマラソン大会に特化したトレーニングがメインになります。

もちろん、今の時期にも、「筋持久力の強化」や「LT 値の改善」のトレーニングは行いますが、「VO2MAXの強化」を優先して行いやすいのが、「今の時期」なのです。

LT値という難しい言葉が出てきましたが、こちらのコラムで詳しく解説しております。
ぜひ今回のコラムとセットでご覧ください。

VO2MAXとマラソン大会に大事な「要素」

先ほどお話しした通り、800mより長く走る競技というのは、酸素を使いながらエネルギーを産み出していきます。
そのためには、身体にたくさんの酸素を取り込める方がいいです。

その目安となるのが、「VO2MAX」です。

マラソンも例外ではありませんので、VO2MAXは、我々市民ランナーも「強化は必須」になります。

ちなみに、VO2MAXは専用の機器じゃないと測定はできません。
なので、ランニングウォッチの数値は、ある程度の目安はわかりますが、「参考程度」と思っておきましょう。
それでも、割と正確ではあります(笑)。

では、VO2MAXを高めるだけで、我々は長距離は速くなるのか?
これには自信をもって「NO!」と答えます。

「最大酸素摂取量」や「消費量」というのは、あくまでも持久力の目安となる1つの要素にすぎません。
その他の大切な要素も同時に高めていく必要性があります。

「LT値」や、「ランニングエコノミー」、そしてフルマラソンでは欠かすことのできない「筋持久力」といった要素ですね。

マラソン大会に必要な「要素」について

これを車で例えてみましょう。

車を長時間走らせるにも、たくさんの「要素」が必要です。

まず、その車に「ガソリンが何リットル入るか」。
これが「VO2MAX」です。

もちろん、ガソリンがたくさん入った方が、長時間走ることができます。
しかし、これが「1L で 5km」しか走れない燃費の悪い車だったらどうでしょう。

いくらガソリンがたくさん入っても、すぐにガソリンはなくなってしまいます。
これが、「1L で 10km」走る車であれば、より長く遠くまで走れます。

この燃費をよくする作業が「LT値」、つまり「閾値」を改善することに繋がります。
閾値を改善すれば、速いスピードで走っても、乳酸が溜まりにくい、つまり、エネルギーの消費を抑えやすくなります。

また、「ランニングエコノミー」を改善することも、この燃費をよくすることに繋がります。
ランニングエコノミーは「走の経済性」とも言われ、効率よく走ることによって、身体のダメージを抑え、疲労を貯めない走りや、「エネルギーを効率よく使う走り」、つまり「燃費をよくする走り」に繋げることができます。

また、車で例えると、「エンジンオイルの劣化」「タイヤの摩耗」により、燃費が悪くなりますよね。
これも定期的に交換や見直し、もっと言うと、「タイヤに負荷をかけない走り」をした方が、車は長持ちします。

これにあたるのが、先ほどもでてきた「ランニングエコノミー」や「筋持久力の強化」です。
そして「定期的なメンテナンス」は「疲労回復」になります。
こういったところも、長距離のタイムを伸ばしていくには必須になります。

結論何が言いたいかというと、VO2MAXというのは、長距離を走るためには、「非常に重要な要素の1つ」ではあるが、「それが全てではない」ということです。

VO2MAXだけではなく、色々なところをトータルで鍛えていくことが非常に重要です。

しかし、1.2を争うくらい大切な要素であることは間違いないので、VO2MAXを高めるトレーニングは、「必ず入れないといけない」、のは確かですね。

VO2MAXの強化方法

いかがでしょう。
VO2MAXの理解、少し深まりましたかね?
じゃあどうやったらVO2MAXを高めていけばいいのか。

最後にココを解説していきます!!

これは人によって、もちろん異なります。
まだまだ走り始めて間もない、フルマラソン完走を目指して走り始めた方であれば、軽いジョギングでもVO2MAXは伸びていきます。

しかし、それは最初だけ。
いつもお伝えしている通り、負荷に慣れるとトレーニング効果というものは得られなくなる、つまりVO2MAXも伸びなくなっていきます。

コラムでも解説している「LT値」同様、VO2MAX付近で入ることが、VO2MAXの数値を伸ばしていくのに「一番効率が良い」、とされています。

人によって微妙な違いはありますが、この「VO2MAXあたり」というのは、「3000mから5000mのレースペースあたり」です。

フルマラソンのスピードに比べると「かなりスピードは速く」、トレーニングとして行うには「かなり負荷が上がって」しまいます。

そこで、3000mや5000mのレースペースで「1000m×5本」や「400m×10本」、そして「レストは60秒」当たりで分割して行う。
など、工夫をしながら行うようにします。

なので、一度3000mや5000mのタイムトライアルや、レースに出てみて、大体でいいので、自分の「VO2MAXトレーニングの数値」を知っておくことは、非常に重要です。

VO2MAXトレーニングで注意すべきこと:1000m×5本

ここで1つトレーニングの例を出して解説します。

「1000m×5本」のインターバル走を行うとします。
VO2MAX強化の適正スピードが、「1km 4分」だったとしましょう。

この「適正ペース」で走ると、VO2MAX到達にかかるのが、「2分」と言われています。

ここで「やりがちなミス」が、効果をより出そうと、これよりも速く、例えば「1km 3分55秒」で走ったとしても、VO2MAXに到達するのが、速くなるわけではありません。
変わらず「2分」です。

つまり、自分の適性タイムよりも速く走っても、「効果は高くならない」ということです。

それどころか、適性タイムよりも速く走ると、3本目、4本目は適性タイムの「1km 4分」すらクリアできないことも多くなります。
よく言う「撃沈」ですね。

「1km 4分」で走ることでVO2MAXの強化になるのに、そこまで到達できない。
ということは、「ただつらいだけで、強化になっていない」、ということになります。

つまり、設定をオーバーするくらいであれば、「最初はやや抑えて」入ったり、最初から適正タイムよりも、少し遅く設定し、「レストを短め」に設定したり、「ジョギングレスト」に切り替えたりして、5本全てを、「適切な強化」に繋げることが大事です。

どんなトレーニングでも、適正なペースよりも速くなってしまうと、思うようにトレーニングの効果は得られにくくなる。
逆に、適正なペースよりも、少し抑えて走ることによって、トレーニングを「最後まで持続させる」ことができ、結果的にトレーニング効果が高くなる、ということですね。

なので、「腹8分目の強度」が大切になってくるのです。

これは、疲労の蓄積を抑えて、怪我の予防にも繋がる、とても大切なことなので、よく覚えておきましょう。

VO2MAXトレーニングで注意すべきこと:400mのインターバル走

もう1つ、VO2MAX強化の代表的なトレーニング、「400mのインターバル走」に関しては、疾走区間は2分以内の方も多いです。
ただし、レストを短くしたり、本数をこなすので、回復しきらないまま本数を重ね、結果VO2MAXの強化に繋がっている、ということですね。

「400mのインターバル走」を活用する場合は、レストを「より厳格に」、そして本数は「しっかりこなす」ようにしましょう。

1本1本の強度は高くなくても、本数をこなせば、VO2MAXの強化に繋がります。

いかがでしょうか。
先ほどもお伝えしましたが、VO2MAXは全てではないですが、非常に重要な「要素」です。
今の時期、VO2MAXを鍛えるには非常にいい時期です。

きつい練習ですが、ぜひ頑張って取り組んでくださいね!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 「VO2MAX」が高いと、「エネルギーをたくさん生み出し」、マラソン大会を「早く走る」ことができる!
  • 「VO2MAX」を強化は「今の時期」、優先してやるべき!
  • 「VO2MAX」はマラソン大会を完走するための大事な「要素の一つ」ではあるが、「全て」ではない!
  • 「VO2MAX」は3000~5000mのレースペースで、長距離を走ること(分割OK)で強化できる!
    ・「1000m×5本」は適正ペースを「継続できる強度」で行うこと!
    ・「400mのインターバル走」は設定した「レスト」や「本数」を厳守すること!

出典

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