マラソン必勝法!35km以降の失速対策

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数8.78万人(2023年11月21日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「35km以降の失速をできるだけ抑える方法」がテーマです。

ペースが落ちると、気持ちが焦ってしまいます。
だけど、「落ちる」のを大前提に、そこまでペースダウンしていなかったらどうでしょう。

きつい中でも少し活路を見い出せて、メンタルが落ち着き、つらい中でも身体を前に進めることができます。

今回は「そんなつらい中で、あと7kmを攻略する方法」をお伝えします。

後半の大失速につながらないように、ぜひ一緒に学んでいきましょう!

失速対策の重要ポイント

今回は「35km以降の失速をできるだけ抑える方法」をお話しします。
この「35km以降」と「できるだけ」というところがポイントです。

というのも、誰しも35km以降は苦しいですし、多くの方はここからペースダウンを余儀なくされます。
もちろん耐えられれば一番いいのですが、なかなかきついのが現実です。
なので「できるだけ抑える」という表現を使っています。

まず、「35km以降の対策」を知る前に、「35km時点の身体の状態」を知りましょう。

<35km時点の身体の状態>
・エネルギー枯渇状態
・全身、特に下半身の疲労が極限
・ナトリウムやマグネシウムを含む電解質が枯渇状態
・疲労物質や代謝産物の蓄積

ザっと思い当たるものでも、これくらいでしょう。
こう見ると「やべえ」と思うかもしれません。

車で例えると、もっとわかりやすいですね。
・ガソリンゼロ状態
・タイヤの空気圧がほぼゼロ
・オイル真っ黒状態
・ガソリンやオイルの「カス」がたまり過ぎ

こういった状態です。
「どうやって走るねん!」というのが、35km地点の皆さんの身体です。

これが車なら、すぐに止まってガソリンを補給して、タイヤの空気圧を適正にして、オイルを入れ替えて、と手入れができますが、マラソン真っ只中ではそれはできません。
あと7km、ポンコツ状態で走らなければいけません。

つまり「極限状態からどう絞り出すか」がポイントになります。

なかなか大変です。

失速対策の解説

では、この「極限状態の乗り切り方」をお話しします。

その方法のポイントは3つです。
① フォームを意識する
② エネルギー摂取のタイミング
③ 足つり対策

それでは、1つずつお話ししますね。

① フォームを意識する

「当たり前やろ」と思うかもしれませんが、疲れていると、フォームは崩れ、力んだフォームになります。
身体は力むと、思うように力が入らなくなります。
車でいうとブレーキを踏んだ状態と思ってください。

フォームが崩れ、力んでブレーキがかかると、より失速につながります。

でも「フォームを意識する」といっても、「どこのフォーム?」と疑問に思いますよね。

大きく3つ覚えておきましょう。
1腕振り
2姿勢
3脱力

この3つです。

1 腕振り

まず「腕振り」です。

いくらフルマラソン後半でも、「疲れて腕が振れない」という方は少ないはず。

この時点では、基本的に「下半身」の筋持久力が限界を迎えています。
なので「上半身」の残っている力を使って走るのがいいでしょう。

がむしゃらに腕を引いて走るのではなく、「前に戻す」、つまり前に振って推進力を高めるように意識しましょう。

足が限界を迎えているなら、「上半身」を意識することが大切です。

2 姿勢

2つめは「姿勢」です。

失速するということは、「地面からの反発をもらえていない」ということです。

つまり、身体が重力に負けて、姿勢が「くの字」になっています。
「くの字」の姿勢になると、ひざが折れ曲がり、前ももに体重がかかります。

そのため、「下半身」にさらなるダメージをため込んでしまいます。

そうならないように、姿勢を「まっすぐ」にすることが大事です。
意識としては、「背骨を真上に引き抜くような」イメージです。

疲労が極限の状態では、色々と考えることはできません。
なので「背骨をまっすぐ上に」と意識して走りましょう。
最低限の姿勢は保てます。

3脱力

最後に「脱力」について説明します。

先ほどもお伝えしましたが、筋持久力が限界を迎えると、さらに力を振り絞ろうとして、力む方が多いです。
力むと可動域が小さくなり、動きのブレーキに繋がります。

なので疲れてきた時こそ脱力ですね。

力む場所は身体の末端です。
わかりやすくいうと、「握りこぶし」や「歯を食いしばった表情」ですね。

なので35km以降は、「ひじから下は柔らかく」、そして、「表情はリラックス」を意識しましょう。

応援に応えるくらい、表情に余裕があるくらい、がいいです。
なので、35km以降はリラックスのためにも、声援に手を振り返すくらいがいいですね。

また、歯を食いしばるよりもリラックスした表情の方が、呼吸筋も働きやすいです。
表情を柔らかく、口は軽く空いているくらいがちょうど良いです。

フォームに関してはこの辺りを意識しましょう。

② エネルギー摂取のタイミング

次に、エネルギーに関してお話しします。

32~33kmでカフェイン入りのジェルを投入するのが、「最大の予防策」と言えます。

カフェインの覚醒作用は、摂取後2-30分で効果が表れます。
なので、35km以降「苦しくなる前」に摂取しておきましょう。

苦しくなってからではなく、「苦しくなる前」に摂取するのがポイントです。

カフェインは脳に作用するので、摂取した後に気分が高揚して、前に進む活力になります。

しかし、カフェインは「常用すると効果が薄くなる」という報告もあるくらいなので、レース1週間前からカフェイン断ちをするといいでしょう。
そうすると、レース後半にかけて摂取するカフェイン入りジェルが効果をもたらしてくれます。

③ 足つり対策

最後に、レース後半に「足がつりそうな場合」について説明します。

足がつりそうな場合はペースを5秒から10秒落としましょう。

オーバーペースが足つりの最大の原因です。
なので、少しで構わないので、ペースを落とすと足が復活することがあります。

いかがでしょう。

35km以降は誰もが苦しく、身体がいうことを聞かない状態です。
魔法のように前に進める方法は、残念ながら「ない」といえるでしょう。

ただし、上記のような方法で粘ることができれば、ベストが出る事、間違いなしです。
皆様が35km以降、粘って粘ってベストが出せること、応援しております!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 35km以降は極限状態。そこから「絞り出す」ことを認識しよう。
  • 疲れた時こそ「フォーム」を意識。①腕を前に振る ②背骨を真上に引っ張る ③こぶしや表情をゆるめる
  • 「苦しくなる前」にカフェイン摂取。1週間前からカフェイン断ちが効果的。
  • 足がつりそうな場合は少しペースを落とす。

出典

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