マラソン大会前に必見!やってはいけないLSDの特徴とは

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数8.97万人(2024年1月4日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は、「脚づくりにならないLSD」がテーマです。

さて、マラソンシーズンが後半に入りました。
前半のレースの結果を踏まえて、再始動されている方も多いでしょう。

その中で、ロング走の一環としてLSDを取り入れる方も多いと思います。

脚づくりに非常に効果的なLSD。
ただし、やり方を間違えると効果が半減してしまいます。
なので今回は、間違えないためのLSDの概要を解説していきます。

LSDは決して楽な運動ではありません。
正しく理解するためにもぜひ一緒に学んでいきましょう!

LSDの効果

まずLSDの目的は、「長い距離を走るための土台を作る」です。

大事なことなのでもう一度言います。
「長い距離を走るための土台を作る」です。

LSDを行うことによって、得られる体の変化は大きく2つありますので、まずはそれをお話しします。

① 毛細血管の増加

1つ目は「毛細血管の増加」です。

長く走ることにより、毛細血管の数が増えます。
毛細血管が増えると、身体の各器官や身体の末端までの、酸素やエネルギーの運搬効率があがります。

そしてその結果、長く運動しても疲れにくく、疲労がたまっても疲労が抜けやすい身体になります。

僕らのように、長い距離を走る競技をしている方であれば、必須な能力という事ですね。

② 着地に耐える筋力の向上

そしてもう1つは、「着地に耐える筋力の向上」です。

ランニングで、一番体に衝撃を受けるタイミングは「着地の瞬間」です。
ランニングにかかる負荷は、この着地の瞬間で決まると言っても言い過ぎではありません。

1回の着地衝撃と着地回数で、脚への負荷は決まります。

LSDは、2時間や3時間走り続けます。
ということは、それだけ着地の回数が多くなりますよね。

スピードを上げないLSDでは、1回の着地衝撃はあまり大きくないですが、低負荷の着地を繰り返すことにより、最終的にかかる下半身の負荷は相当なものになります。

LSDをしていて、最初は全くしんどくなく、なんだったら「4時間くらいやってやろう!」と思っていたけれど、2時間経過した頃にはやめたくて仕方がない。
こんな経験がある方も多いでしょう。

これは着地衝撃の蓄積できつくなってきているのです。

低強度でも長い時間行うことにより、長く走る身体作りができる、ということですね。

ペースが遅いと、心肺機能は余裕があります。
なので、「じっくりと下半身の筋強化ができる」というのも、LSDの非常に良いところです。

そして、ほとんどの方がLSDでの着地は、たたきつけるよりも、柔らかい着地を意識しますよね。

つまり怪我予防の着地のテクニックを身に着けるにも、LSDは有効とも言えます。

もちろんLSDでも、たたきつけるような着地をしてしまっては、怪我を誘発してしまうので注意してくださいね。

なので、「一度脚づくりを基礎からやり直したい」方や、「年明けに挑むレースの距離走を初めて行う」方には、LSDは非常に有効ですし、また「普段速いペースでしか距離走をしない」方にも有効です。

なぜなら速いペースで距離走を行うと、運動時間が短くなりがちです。
こういった方が運動時間を長くとることで、体にはまた違う刺激が入ります。

色々な刺激を体に入れてあげることが、レベルアップの秘訣です。

そういった観点からみると、ゆっくりとしたジョギングやゆっくりとしたペースの距離走、つまりLSDは練習として非常に有効と言えます。

LSDでやってはいけないこと

では、LSDでやってはいけないことは何なのか。
これも、大きく分けて2つあるので、1つずつお話ししますね。

LSD NG① 距離や時間が短すぎる

まず1つ目、「距離や時間が短すぎる」事です。

距離や時間が短いという事は、それだけステップ数、つまり着地の回数が少なくなります。
着地の回数が少なくなると、LSDの最大の利点でもある「下半身の筋力強化の効果」が少なくなります

もちろん、「長い距離を走ったことがない」「これから距離を伸ばしていくぞ」という方は、距離や時間が短い、例えば60分のLSDから始めるのは問題ありません。

むしろ最初から2時間や3時間を走ろうとすると体力が持ちません。
仮にできたとしても、下半身の筋力が出来上がっていないので、疲労が必要以上に残って、練習ができなくなったり、怪我につながる可能性が高くなったりします。

一方、フルマラソンを何度も完走しており、4時間を切ったり、3時間を目指すような方であれば60分のLSDというのは、確実に運動効果として物足りないでしょう。

60分のLSDがクリア出来たら、90分や120分、3時間のLSDというように、徐々に距離や時間を伸ばし、下半身の筋力を強化していくことが大切です。

ただし、時間の上限は3~3時間半だと思います。

これ以上は、運動時間が伸びすぎて強度が上がり過ぎてしまい、疲労が残ったり、怪我のリスクが増えたりしてしまいます。
やりすぎにも十分に注意しましょう。

LSD NG② LSDしかやらない

2つめは「LSDしかやらない」事です。

こちらも意外とやりがちです。
先ほどもお伝えしましたが、練習というのは色々な強度で行うことが大切です。

ポイント練習も「インターバル」や「ペース走」があり、距離やペースも、その日の目的によって変化させます。

ロング走も同様です。
しっかりと歩数を増やして下半身の強化を行いたいのであれば、LSDは非常に有効ですが、レ―スペース近くで走ることも大切です。

レ―スペース近くで走ると、LSDとは心拍数が変わりますし、ピッチやストライドも大きく変化します。

つまり、同じロング走でも、体の動かし方や生理的な反応は全く違いますよね。
なのでLSDだけでは、レースに近い体の動きの再現は難しくなる、ということです。

なので、ロング走はLSDだけで十分ではなく、LSD以外にも、レ―スペース近くで走るトレーニングも重要です。

どちらの方が大切か、ということではなく、そもそも目的が違います。

ちなみに、僕のケースでいうと、今シーズンはレ―スペースに近い距離走をメインで行っていました。

そのおかげか、レ―スペースでの走りにはストレスがなく、心肺が乱れることはありませんでした。
しかし、後半の脚攣りに悩まされたのは、シンプルに筋持久力に課題があったと考えています。

こういった場合、レ―スペースに近い練習+LSDのように、じっくり走って筋持久力を強化する練習の重要度が高いですね。

逆にレースペースで走って、すぐに失速してしまうのであれば、レ―スペース付近の練習が足りない、という見方になります。

つまり、自分に何が足りていないかによって、距離走の取り組みは変わってきます。
ずっとLSDだけでは必要なもの全てを揃えることはできない、ということですね。

練習は1つのメニューだけではなく、色々な練習を組み合わせることによって、効果を引き上げることができます。

慣れたメニューをずっとやっていると効果は薄くなり、徐々に結果が出せなくなります。
ジョギングだけで速くなった人が、そのうちタイムが伸びなくなるのがいい例ですね。

LSDも同様で、他のメニューと組み合わせることで、より効果的なものになるという事を覚えておいてください。

LSDのペースについて

最後にLSDのペースですが、明確に決まっているわけではありません。

僕の場合はレ―スペースから1分以上遅いペースで走ると、かなり体に余裕があります

要は、身体に低負荷の衝撃を長く与え続けることが目的なので、このことを頭に入れながら走っていただければ、同様の効果は得られると思ってください。

如何でしょう。
LSDだけでマラソンを乗り越えられる、とは言いませんが、トレーニング効果を理解して行えば、間違いなく皆様にとって有効なトレーニングです。

ぜひとも、正しく行って、正しく脚を作っていきましょう!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • LSDは長い距離を走るための土台作り
  • LSDのトレーニング方法の注意点
    ①距離や時間が短すぎない事
    ②LSD以外のメニューも取り入れる事
  • LSDは低負荷で衝撃を長く与え続けられるペースで走る事

出典

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