【マラソン大会攻略法】30km以降、失速しない対策法

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.31万人(2024年3月4日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「30km以降の失速を防ぐために。」がテーマです。

全国各地でたくさんマラソン大会が開催されており、いよいよマラソンシーズンもあとわずか!
皆様に言えることは「頑張って!」

さて、今回は30km以降の失速をこらえる方法です。
よく聞くテーマですが、何度でも聞きたいですよね。

・30kmからがスタートライン
・30kmまでをいかに楽に走るか

こういう声も少なくありません。
やはりトラブルが起きて、失速しだすのが圧倒的に30km以降ですから。

今回は再度、こちらに焦点を当てて解説いたします。
何度聞いても不安になるなら何度も説明します!

これから続くマラソン大会のためにも、ぜひ一緒に学んでいきましょう!

30km以降の失速の原因

まず30km以降の失速の原因は大きく3つにわけられます。

①身体のグリコーゲンの枯渇
②ランニングフォームの変化
③精神面

これらの原因と対策を詳しく解説していきます。

原因と対策①:身体のグリコーゲンの枯渇

30km以降の失速の原因、1つ目は「身体のグリコーゲンの枯渇」です。

グリコーゲンというのは、「体内に貯蔵できる糖質」と思ってください。
このグリコーゲンを体内に貯め、その蓄積分でマラソン大会当日は身体を動かしています。

このグリコーゲンは体内の筋肉に300g 、肝臓に100g と合計400g 貯蔵されています。
グリコーゲンは糖質なので、糖質は1g=4キロカロリーのエネルギーになりますので、単純計算で「1600キロカロリー分の糖質を使って動ける」ことになります。

マラソンは、骨格や性別によって変わりますが、大体1回で2000~2500キロカロリー消費すると言われています。
この計算でいうと、どんな方でも身体のグリコーゲンが尽きるのが、30km前後という計算になります。

何度も言うように、体格や骨格の違いもありますので、全員共通というわけではありませんが、そこまで大きな違いはないでしょう。

長期的に見たときには、身体の脂質代謝を上げていくことが根本的な解決策になります。
体内の脂質を効率よく使うことができれば、この問題を上手く解決できます。
それはロング走や距離を踏むことで、脂質の代謝速度を上げることができるのですが、まあそれは、今このタイミングで解決できることではないですね(笑)。

短期的に解決できるのは、カーボローディングと当日のジェル摂取です。

対策①:カーボローディング

カーボローディングを上手く行うことができると、体内に貯蔵できるグリコーゲンの上限を増やすことができます。
人によっては600g、つまり2400キロカロリー分貯めることができると言われています。
大抵の方なら、これでフルマラソンを走り切れる量です。

カーボローディングは3日前から糖質の量を増やして、タンパク質や脂質、繊維質を減らしましょう。
満腹感が出て、糖質が食べられなくなります。

ただし、便通が悪くなる方は、繊維質も必要になりますので、ここは人によりますね。
また、コンビニ食などはできるだけ避けます。

そして、摂取した糖質がエネルギーとして使われるのは20時間後と言われていますので、当日の朝のドカ食いは、かなり効率が悪いです。
当日の朝は血糖値を上げて交感神経を刺激するくらいでいいかと思います。

対策②:エネルギージェルの摂取

もう一つの対策として、エネルギージェルの摂取があります。

先ほどから言っている理由から、糖質が体内から枯渇しないようにするのが大切です。
なので、こまめにジェルを摂取してエネルギー補給をすることが非常に重要です。

・体格の大きな人なら7kmごとの5つ
・体格の小さな人なら10kmごとの4つ

というように、マラソン大会中もエネルギー摂取を忘れないようにしましょう。

また、雨の日や寒い日のレースは、体温を上げるためにたくさんのエネルギーが必要です。
レースの日が寒くなりそうな場合や雨が降りそうな場合は、いつもよりもカーボローディングを積極的に行ったり、いつもよりジェルを多めに携帯するようにしましょう。

原因と対策②:ランニングフォームの変化

2つ目は「ランニングフォームの変化」です。

マラソン大会序盤というのは、大部分の方が、自分の理想のフォームで走れているでしょう。
慣れているフォームなので、本人の中で一番ランニングエコノミー、つまり「走の経済性」がより働いて、効率の良い走りになっています。

これがマラソン大会後半になると、そういうわけにもいきません。

筋持久力が低下し、エネルギーの枯渇によりフォームが保てなくなります。

そうなると、脱力したフォームが保てなくなったり、接地時に地面を押し返すことができなくなります。
ピッチが落ちて、地面を押すこともできないので、腰がどんどん沈んでしまい、いわゆる腰が落ちたフォームになります。

マラソン大会後半になると、「理想のフォームを保てなくなる」というのも1つの失速原因です。

具体的なフォームの変化は、「フォームは個々によって違う」ということを大前提として、
・力む
・ピッチが下がる
・腰が落ちる、もしくは、反る

多くの方はこれらが多いです。

「力む」時の対策

1つ目の力むに関しては、30km以降はとにかく「脱力を意識」することがポイントです。

やり方は簡単です。
一度身体を「ストン」と落とした後に、目線をしっかり上げる。

目線を上げることで、脊柱がまっすぐになり姿勢を元に戻せます。

脱力しっぱなしだと、上半身の力が抜けるので、下半身への負荷が大きくなります。
なので、「脱力して、身体をリセットする」という意味合いが非常に大きいですね。
力みっぱなしもダメですし、脱力しっぱなしもダメ、ということです。

「ピッチが下がる」時の対策

ピッチがおちるのも、失速の大きな原因です。

スピードはストライドとピッチの掛け算ですから、ピッチが落ちると自然と失速しますよね。
マラソン大会序盤は自然とピッチを保てますが、マラソン大会後半になるとピッチも徐々に落ち始めます。
シンプルに筋持久力が落ちてきますから。

そうなったときに、いかに「ピッチを上手く回せるか」がポイントです。

レース後半は、「上半身をしっかり使って」ピッチを上げましょう。
腕を前に切り返して、後ろから前に腕を振って、できるだけコンパクトな腕ふりを心がけましょう。

後半、足が疲れているときは上半身を使います。
ランニングで上半身、腕振りというのは、下半身の最大のサポート役です。
きつい時はサポートしてもらいましょう。

「腰が落ちる」時の対策

3つ目の「腰が落ちる」ですが、このようになっている時は「地面を押し返す力がなくなっている」ことを意味します。

そうしたときに、腰が沈んでしまい、腰が沈むと足へのダメージは指数関数的に大きくなります。
腰が落ち始めると筋力もどんどん奪われていき、失速待ったなしです。

それを防ごうと、どうにか腰を落とさないように、つまり身体を持ち上げようとして反り腰になる人も多いです。
反り腰になると股関節の伸展動作、わかりやすく言うと「地面に力を加える動き」ができなくなります。

つまり「思ったようにスピードが上がらなくなる」ということですね。

「反り腰」と「腰落ち」は親戚みたいなものです。

この2つの解決方法は、腰が落ちそうなら背中を上に伸ばす、反るのではなく、上にひっぱります。
そうすると下半身のダメージも軽減されますし、反り腰も回避できます。

身体が下に沈んできた、目線が下がりそうだ、という方は腰が反る前兆であり、腰落ちの前兆でもあります。
そんな時こそエネルギージェルをぶち込んで、背骨を上に引き上げる動きを行いましょう。

原因と対策③:精神面

3つめは「精神面」です。

これはもう全員共通。
対策はあってないようなものですね(笑)

いうなれば30km以降は誰でもきついですし、35km以降は思考が働いていない、という方も多いでしょう。
つまり「あなただけではない。」ということですね。

ここから「失速しない」人は本当に少ないでしょう。

ここで、「タイムを落とさない」と考えると逆にしんどくなります。
「これくらいの落ち幅なら大丈夫」「ここで粘るぞ!」というように、強い気持ちをもって失速を抑えましょう。

この場面で、今までやってきたことを思い出してください。
心が折れそうなときにあなたを支えてくれるのは、これまでの経験や、やってきた練習です。

仲間がいる方は仲間を思い出して、一人で練習を積み重ねている方は、黙々と行った練習を思い出しながら。

自分がマラソン大会のために積み重ねたことを、思い出し、それを無駄にしないために踏ん張りましょう。

マラソンは、きつい波の後は、楽な波も訪れるものです。
なぜか…、と言われると「そんなもんです」としかいえませんが(笑)

なので、一番きつい場面を切り抜けると、必ず身体を動かすことができます。

きつい時の思考法。
今までのことを無駄にしないためにも冷静に、落ち着いて、でも気持ちを強く持ってきつい場面を潜り抜けることです。

「やってきたことは無駄ではない」と言って脳を思い込ませましょう。
30km以降は脳をだまして、奮い立たせる作業です。
こんなきつい場面、1年の中でも、そうそうないことですから楽しもうじゃありませんか(笑)

いかがでしょう。
30km以降は本当にきつく、何度も足が止まりそうになります。
やめたくもなるでしょう。

だけど、ここを乗り切ることが、皆様をさらなるステージへ引き上げてくれます。

苦しい場面すらも楽しみながら、最後まで。
42.195kmというマラソン大会を乗り切っていきましょう!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 失速の原因は ①グリコーゲンの枯渇 ②フォームの変化 ③精神面 の3つ
  • グリコーゲンの枯渇対策:3日前からのカーボローディングとこまめなジェル摂取で対処すること
  • フォームの変化対策:脱力を意識し、背中を上に引っ張り、目線をあげ、コンパクトな腕ふりを行うこと
  • 精神面対策:自分がマラソン大会のために積み重ねたことを思い出し、気持ちを奮い立たせて切り抜けること

出典

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