いくつ知ってる?マラソン前の調整方法

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数8.7万人(2023年11月9日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「マラソン前の調整で大切にしてほしいこと」がテーマです。

いよいよマラソンシーズンに入りましたね。
僕の周りも、盛り上がってきています。

この時期になると
・練習はいつまでできるのか
・当日までどんな練習をすればいいのか
・疲労はどうやって抜けばいいのか

いわゆるマラソン当日に向けた「調整」ということを意識しますよね。

今回はその調整について、どうすれば本番でベストパフォーマンスを出すことができるのか、解説していきます。

せっかく頑張ってきたからベストな状態でマラソンに挑みたい。
誰もがそう思うはず。

練習の成果をしっかり出すためにも一緒に学んでいきましょう!

調整の目的

まず、マラソン前になると練習の強度を下げたり、走る量を減らしたりして、練習の量や強度を「調整」すると思います。
では、この調整の目的は何なのか。

調整の目的は、ずばり「疲労を抜く」という作業になります。

調整前までの練習というのが、パフォーマンスをあげるための練習。
つまり、走技術やスピード持久力、下半身強化や、VO2MAX向上といった目的の練習です。

そして、マラソン本番が近づいてきて2週間を切ったあたりから練習を「調整」します。
つまり、パフォーマンスを上げるための練習は完了し、それまでに蓄積した疲労を抜く作業になります。

調整で大切なこと

疲労を抜くために2週間や3週間かけて「調整」を行います。
MAXで出せるタイムは2週間くらい前に決まってると考えると、少し変な気持ちになりますね。

疲労を抜くのにそんなにかかるの?と思うかもしれません。

厳密にいうと、そこまでかかるわけではありません。
完全にランニングをオフ、つまり全く走らないで過ごせば、1週間かからず疲労は抜けるでしょう。

僕も1日丸々オフの期間を入れるだけで、身体がかなり軽くなるのを感じます。

じゃあ、「疲労を抜くのに2週間もいらない」「1週間全く走らずに過ごせばいい」と思いますよね。

ココが調整の難しいところで、走らずに過ごすと、確かに疲労は抜けると思います。
しかし、身体のキレが悪くなります。
言い方を変えると「走り方を忘れる」のです。

経験がある方はわかると思いますが、1週間全く走らないと、「身体は軽いけど走れない」「どこか動きがかみ合わない」と感じることがあります。

神経や筋肉というのは使わなければすぐに衰えます。
「身体の使い方はすぐに忘れる」と思っていてください。

もちろん完全に忘れるわけではなく、しばらく走らなくても、普通に走れるし、しばらく泳がなくても、意外と普通に泳げるし、自転車を長年乗っていなくて久しぶりに乗っても、意外とそつなく乗れます

完璧に忘れるわけではなく、最低限出来るくらいには、身体というのは覚えています。

つまり、長い時間休んでも、やり方や動かし方はちゃんと覚えてはいるけど、細かいところまでは覚えていない、ということですね。

マラソンで結果を出したい場合であれば、この細かい感覚も体がしっかりと覚えておく必要があります。

なので、完全に休むのではなく、マラソン本番の2週間や3週間前から、「練習量を減らしつつ身体の感覚を残しておく」ことが大切になります。
つまり、全く走らずに疲労を抜くのではなく、走りながら身体の疲れを抜いていかなくてはなりません。

マラソンの2週間くらい前までは自分の走技術や身体の機能を上げるための練習に集中し、それを過ぎたら身体を回復させるための練習に切り替えましょう。

調整期間のランニング練習方法

では、いったいどういう練習をするといいのか?

練習のボリュームを決めるのは
●練習頻度→1週間をサイクルにしているのであれば週何回走ったか
●練習強度→1回の練習時間や走行速度の速さ、つまりポイント練習はどれくらいしているか
●練習距離→1回にどれくらいの距離を走ったか
だと思います。

これは結論から言うと、頻度と強度は落とさずに、距離を落としてください。

大事なことなのでもう一度。

『距離を落として強度を調整します。』

先ほどの解説でいうと、頻度を減らすのは得策ではないです。
つまり「走り方を忘れる」ことになります。

走る頻度はそのままです。
また、運動強度、例えば、ポイント練習の強度も保ちます。

これは意外かもしれませんが、「レ―スペースで動く感覚」というのは忘れてはいけません。

スピードを上げて走ることによって、神経や筋に刺激が行き、パフォーマンスを保つことができます。
普段の練習から「流しを積極的に行おう」というのは、こういう理由からです。

そのようなわけで、唯一減らすのが「走る距離」です。

距離を走ると疲労が蓄積することは経験済みだと思います。
ロング走の後のなんともいえない疲労感です。
ああいった疲労をためないようにする、ということです。

色々な文献をみても、
●「質」つまり「強度」は保つ、もしくはやや上げる
●頻度も保つか、ほんのわずか落とす
●「量」つまり「走行距離」は半分くらいに落とす

という調整方法が推奨されています。

ランニング練習方法の具体例

・1週間に50キロ
・ポイント練習を週2回
・練習頻度が週5回

こういった方の「調整前」メニューがこんな感じだとしましょう

月曜日 オフ
火曜日 10kmジョグ
水曜日 インターバル1000m×6本
木曜日 オフ
金曜日 8kmジョグ
土曜日 10kmペース走
日曜日 15kmジョグ

こういった方の「調整」メニューは

月曜日 オフ
火曜日 5kmジョグ
水曜日 インターバル1000m×3本+流し100m×3本
木曜日 オフ
金曜日 4kmジョグ+流し100m×3本
土曜日 5kmペース走+流し200m×3本
日曜日 7-8kmジョグ

頻度やメニューは変えずに、距離だけを落とす。
そして、身体のキレを残す、もしくは、向上させるために、流しを積極的に取り入れる。

こういった工夫で練習強度を担保します。

あくまで一例ですが、基本的な考え方を必ず覚えておいてください。

練習以外で大事なこと

この調整中に行って欲しいのが、
・睡眠の確保
・レーススケジュールの確認

ですね。

睡眠時間の確保は、みなさん意識していると思います。

疲労を回復させる一番の方法は睡眠です。これは間違いありません。

どれだけ練習を調整しても、睡眠時間が少ないと、疲労は絶対に回復しません。
8時間を目標に、難しくても普段よりも多く睡眠をとることを心がけましょう。

そして多くのマラソン大会は朝が早いです。

いくら睡眠を確保してたとしても、1時入眠→8時起床は、マラソンのスケジュールに合っておらず、前日に眠れない可能性も出てきます。

マラソン大会スケジュールの確認と、自分の起床時間や当日の朝のスケジュールに合わせた睡眠を心がけましょう。

いかがでしょう。
マラソン前に不安になっている方も少なくないでしょう。

でも、しっかりと練習ができているなら、もう大丈夫。
あとは安心して、「疲労抜き」に取り掛かってください。
焦らなければ、いい結果が必ず出ます。

適切な調整を心掛けて、マラソンを目いっぱい楽しんでくださいね!応援してます!あなたならできる!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 大会前の調整の目的は「疲労を抜く」こと
  • 調整は練習量を減らしながら、身体の感覚を残すことがポイント
  • 調整中の練習は、「距離」を落とし、「頻度」と「強度」は維持して行う
  • マラソン前は睡眠をしっかり取り、マラソン大会のスケジュールに合わせた起床を心掛ける

出典

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