「なんか調子悪いな?」ランナーの不調を克服する方法

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.24万人(2024年2月20日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「調子が悪いときの解決方法」がテーマです。

走っていて一度は思ったことがあると思います。
「なんか調子悪いな」

・同じメニューをしていてもこなせない
・すぐに疲れてしまう
・息がすぐにきれる
・前までできていたことができない
こういったことありますよね。

これを、「調子が悪い」「状態が悪い」と言ったりします。

このような時は、いったいどうすればいいのか。
それをお話していきたいと思います。

調子が悪い原因は?

まず「調子が悪い」というのは、いったいなぜ起こるのか。
これはシンプルに「疲労」が原因です。

けれど、「疲労」といっても疲労の種類は様々です。
この疲労の種類によって対策も変わってきます。

疲労の種類は大きく5つに分けられます。
 ①組織損傷、つまり、筋損傷による疲労
 ②生体恒常性の疲労
 ③エネルギー枯渇による疲労
 ④疲労・代謝産物蓄積による疲労
 ⑤脳の疲労

「疲労がたまっている」といっても、「どんな疲労」がたまっているか。
これをしっかり理解して対策をする必要があるわけです。

それでは、順番に解説していきましょう。

疲労①:筋損傷による疲労

まず1つ目は「筋損傷による疲労」です。

「筋肉痛」や「肌肉の張りが強い」と、その程度が大きければ大きいほど、パフォーマンスは下がります。
この疲労は、自覚もできますし体感として「疲れている」というのも、わかりやすいですね。

この状態で運動を続けると、当然ながらパフォーマンスは上がっていきません。

この状態を速やかに回復させるには、「20℃以下の冷水浴を行う」ことです。

本来は15℃以下の冷水浴が最も効果的と言われていますが、体脂肪が少ない人は「20℃でも十分に効果的」というデータがあります。
体脂肪が少ないランナーであれば、20℃の冷水で十分でしょう。

例えば、国内の銭湯や大浴場の冷水風呂の温度は、ほとんど「17-20℃前後」と言われていますので、そういった意味でも、「筋疲労が大きい時は銭湯に行く」ことをお勧めします。

疲労②:生体恒常性の疲労

2つ目は「生体恒常性の疲労」です。

これは「体温の上昇」や「脱水状態」による疲労です。
冬の時期にはあまり見られず、夏になるとよく起こります。

発汗により水分と体内の電解質が失われ、パフォーマンスが低下します。
また、運動をすることにより、深部体温が上昇することで、睡眠の質が低下し、疲労が抜けなくなって、パフォーマンスが落ちてしまいます。

先ほどもお伝えしましたが、冬の時期は脱水や体温上昇は起こりにくく、夏に起こりやすい疲労で、夏のパフォーマンスが上がらない大きな原因の一つです。

とはいえ、冬場と言えど、水分を摂取しないと脱水に陥りますので、トレーニング前後はしっかり水分を摂取するようにしてくださいね。
発汗が起こるような、「高強度の練習」の際は、できるだけ「電解質も摂取できる」ような給水を心掛けましょう。

疲労③:エネルギー枯渇による疲労

3つ目は「エネルギー枯渇による疲労」です。

実はこの疲労は、冬の時期に陥りやすいです。

運動を継続することにより、身体の各部位に貯蔵されているエネルギーが枯渇してしまうと、体重が減少し、運動時のエネルギーが確保できず、パフォーマンスが低下します。

そして、冬というのはエネルギーを消費しやすく、体重が減少しやすい時期です。
意外かもしれませんが、外気が寒くなると、身体は体温が下がらないように、エネルギーを消費しながら体温を上げようとします。

「体温が下がる」=「死」に繋がりますので、身体の防衛本能が働くということです。

つまり、冬場はエネルギーが消費しやすく、体重減少が起こりやすいのです。

そして、我々ランナーも、シーズン中である冬の時期になると、長い距離を走ることが多くなります。
つまり、「運動量が増えるので、エネルギーも消費してしまう」という事です。

シーズン中に体重が増えることを恐れて、あまり食べない方もいらっしゃいますが、練習がハードになってくる今の時期は、しっかり食べて、エネルギーを確保しないと、パフォーマンスが上がらず、調子を落としてしまします。

練習後に、体重1kg あたり1g 程度の炭水化物とタンパク質を摂取することで、エネルギーの枯渇を防ぐことができます。

また、一般の方と比べて、我々ランナーは糖質を多大に消費しますので、普段の食事から、恐れずに糖質を摂取するようにしてください。

さらに、怪我をされている方は、怪我の部位の修復のために、エネルギーを多く消費します。
怪我の治癒のためにも、食事をちゃんと摂取することは非常に重要ですので、覚えておいてくださいね。

疲労④:疲労・代謝産物蓄積による疲労

4つ目は「疲労・代謝産物蓄積による疲労」です。

「強い強度の練習」や「長時間の練習」が続くことにより、筋肉や血中に疲労物質がたまってしまいます。
その結果、全身へのエネルギー供給率の低下、つまりはエネルギー不足と同等の現象が起き、筋肉の収縮機能が下がり、筋肉が思うように動かくなくなります。

冬のこの時期は、レース前に気合が入り過ぎて、慣れない高強度の練習や、長時間の運動が多くなる方が多いです。
なので、疲労物質の蓄積により、調子を落としている人も非常に多くいらっしゃいます。

代表的な解決方法として、「アクティブリカバリー」や「入浴」をお勧めします。

アクティブリカバリーに関しては、過去の記事で詳しく解説しております。
よければご覧ください。

簡単なやり方として、30分以内の軽い運動を推奨しております。

また、入浴によっても血流は良くなります。
できるだけ温かいお湯に入って、身体を温めましょう。

疲労⑤:脳の疲労

最後5つ目は「脳の疲労」です。

脳というのは認知機能や判断機能があるため、脳が疲れると、集中力が低下し、運動中の細かな判断や筋肉の反応時間に遅れが出るため、自分の理想の動きと微妙にズレた動きになった結果、パフォーマンスの低下に陥ります。

脳の疲労は、高強度のトレーニングや、長時間の運動、その他には日常にストレスや、仕事のストレスといったことからも脳は影響を受け、疲労を引き起こします。

「身体は疲れていないけど、やる気が出ない」といったケースの場合は、脳の疲労が影響していることが多々あります。

脳の疲労を回復させるには、「睡眠が一番」と言われています。
適切な睡眠環境を整えることで、眠りの質が向上し、脳の疲労回復に繋がります。

睡眠の質を上げるためには、「自然と眠くなる」状況に持っていくことが重要です。

一般的に、「深部体温が下がるタイミング」が「眠くなるタイミング」と言われています。

お風呂にゆっくり入った直後は体温が高いのですが、入浴1時間後に深部体温が下がります。
なので、入眠の1時間前にお風呂から上がるようにスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。

特に、夜にランニングをする方は、運動後は交感神経優位になり、なかなか入眠が上手くいきません。
そんな方こそ、お風呂に入り、深部体温を調整するように心がけましょう。

そういった意味では、軽く冷水を浴びるのも有効です。
今の時期は寒いから億劫かもしれませんが、夏場には非常に有効です。

如何でしょう。
個人的な意見を言うと、「調子が悪いから走らない」という選択肢を取ると、より調子は悪くなります。
もちろん、筋疲労が激しい場合などは別です。

ただ、ランオフをすると、身体の感覚がどんどん悪くなり、より調子が悪くなります。
なので、なかなか調子が上がらない時は、走る距離や時間を抑えつつも、ランニングの頻度は落とさず、睡眠や入浴、食事で整えることが一番です。

疲労の種類によって、リカバリー対策は変わります。
自分がどの疲労状態により、調子を落としているのか。
そういったところを判断できるようにしてきましょう。

シーズンも後半戦です。
調子を上げていくには、疲労との向き合い方がカギを握ります!
PBを出していくためにも、実践してくださいね!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 調子が悪い原因は「疲労」! 疲労の種類に合わせて対策をしよう!
  • ①筋損傷の疲労には「20℃以下の冷水浴」をしよう!
  • ②トレーニング前後で水分をしっかり摂取して生体恒常性の疲労を防ごう!
  • ③エネルギーが枯渇しないよう、練習後には体重1kg あたり1g 程度の炭水化物とタンパク質を摂取しよう!
  • ④疲労物質は「アクティブリカバリー」や「入浴」で除去しよう!
  • ⑤脳の疲労には睡眠が一番! 入眠の1時間前にお風呂から上がって、睡眠の質を向上させよう!

出典

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